Twilight: Special Edition (Blu-ray) (2008)
(トワイライト　初恋）

＜作品データ＞
リージョン： A
制作： Summit Entertainment
映像仕様： LBX
音声仕様： DTS HD 5.1 Surround (English), Dolby Digital 5.1 Surround (Spanish)
作品時間： 133分
画面比率： 2.40:1
CC： Yes
字幕： English,Spanish

母親が再婚をしたのを機に、太陽が輝くアリゾナ州から雨の多いワシントン州フォークスに引っ越してきた高校生のベラ（クリステン・スチュワート）。フォークスはベラの生まれ故郷で父親のチャーリー（ビリー・バーク）が保安官を務めている小さな町だ。そこで父親との二人暮らしと地元の高校での新しい生活が始まった。

学校には美しい容姿を持つカレン家の兄妹5人が在籍していた。彼らは数年前にアラスカから移り住んできたドクター・カレン（ピーター・ファシネリ）の養子たちだが、他の生徒と交わろうとはせずいつも自分たちだけで行動をしていた。なかでも最も完璧な美しさ持つエドワード（ロバート・パティンソン）にベラはしばし目を奪われるが、エドワードはベラに全く関心を示す様子はなかった。

生物のクラスでエドワードの隣の席になったベラは、彼が自分を拒絶するような態度を示したことに深く傷つく。ところがある日、学校の駐車場でスリップした車に轢かれそうになったベラをエドワードがとっさに救う。離れたところにいたはずのエドワードが瞬時にベラのもとにやってきて、素手で車を阻止したのだ。普通の人間とは思えない俊敏な動きと並外れた腕力。病院に運ばれたベラはドクター・カレンにエドワードの行動を話すが、ドクターは全く気にも止めなかった。

その後もエドワードの不可解な行動が続くなか、ベラはインディアンの少年ジェイコブ（テイラー・ロートナー）から地元に生き長らえているというヴァンパイア一族の存在を聞かされる。ベラはますますエドワードの真実を求める気持ちが高まってゆく。

そして、ついにベラはエドワードに本当のことを尋ねるが、その時はもう二人は恋に落ちていた。激しく求めあいながらもキスさえ命取りになりかねない二人。やがて二人の関係は凶暴な放浪ヴァンパイアたちへも波紋を広げてゆく…。

ティーンを中心に世界でシリーズ累計4200万部を売り上げたステファニー・メイヤーによるヤングアダルト小説第一作を映画化。世界中で初登場一位を記録し、「ハリー・ポッター」以来の大旋風を巻き起こしている「トワイライト　初恋」は、儚げな転校生が美少年ヴァンパイアと禁断の恋に落ちる耽美的ラブストーリーだ。

転校生が学校一のイケメン少年に無視されて傷心するが実は彼の態度は愛情の裏返しで、身に危険が迫ると必ず助けに来てくれるという、恋に落ちないはずはないシチュエーション。おまけに本当は好きになってはいけない相手となれば恋は燃え上がるばかり。手を出したいが出してはいけない、でも愛する人のためなら命を捧げてもいいと本気で思える17歳の純愛物語。

二人の恋愛に絡んでヴァンパイア同士の戦いがあったり、狼人間との敵対があったりするのだが、ストーリーに斬新さは無く少女コミックにありそうな内容だ。それでもこれだけのヒットを記録しているのは、普遍的な純愛はいつの時代も求められているということなのだろう。恥ずかしいほどまっすぐな恋愛にときめきを感じられなければ、作品の意図は伝わらないかもしれない。

本作で唯一目新しいのは、怪奇的なヴァンパイアのイメージを一新してしまったところ。超近代的なガラス張りの豪邸に暮らし、牙を向けることもなければ人間の血への誘惑も克服したカレン家のヴァンパイア。それもヒロインが思わず目を奪われるほどの美しい顔立ちを持つ面々。エドワードを演じているのは「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」でセドリック役だったロバート・パティンソン。美少年に対する意識が高い日本の女の子でもメロメロになってしまいそうな美貌の持ち主だ。「パニック・ルーム」「イントゥ・ザ・ワイルド」のクリステン・スチュワートが演じるのは、自立心が強く、高校生にしては落ち着いているがどこか守ってあげたい雰囲気を持ったヒロインだ。

ペーパーバックで500ページほどもある原作では高校生らしいぎこちない会話の連続で二人の関係は進展していくが、映画では当然ながら多くの部分がカット。二人の感情の推移はじっと見つめあう視線や表情に頼ることになるのだが、主演の二人の一本調子な芝居は演技としてはちょっと物足りなくもあり、初々しくもある。

映画のクライマックスは予知能力を持つアリス（アシュリー・グリーン）や強靭な肉体のエメット（ケラン・ラッツ）などカレン家の兄妹が活躍の場を見せる大アクションシーン。戦う敵方もまた抜群のルックスを持つ放浪ヴァンパイア三人組。このアクションシーンではアメコミ風の特殊効果が多いに活躍し、ただのラブロマンス映画では終わらせないところを見せてくれる。二人の恋が波紋を広げてゆく周囲の人物が続編ではまた別のストーリー展開を見せてくれることだろう。

監督は「ロード・オブ・ドッグタウン」のキャサリン・ハードウィック。小説を読んで惚れ込んだという監督は、原作の世界を損なわない映像作りにこだわった。雨の多い町の雰囲気を出すための彩度を落とした微妙な色調や、森のなかを飛び回る景色の壮大さは、やはりハイ・デフィニションの高画質でこそ本領を発揮する。

続編となる「New Moon」は11月に全米公開が予定されている。

特典はすべて字幕が無いのが難点だが、HD収録のメイキング・ドキュメンタリーやカットシーンはぜひとも見ておきたい内容だ。

Audio Commentary
キャサリン・ハードウィック監督とクリステン・スチュワート、ロバート・パティンソンによるオーディオ・コメンタリー。主演の二人はあまり製作の裏側について語らずにちょっとした雑談をしたり笑ったりしてる部分が多い。監督が撮影時の様子などを話しているが情報量としては非常に少ないコメンタリー。

The Adventure Begins: The Journey From Page to Screen
55分ほどのドキュメンタリー。HD収録。原作の映画化からキャスティング、セット製作から撮影秘話など一通り網羅した幅広い内容のドキュメンタリー。

Comic-Con Presentation
原作者、監督、主要キャストが参加してのコミコンでのセッション風景。原作の熱狂的なファンたちはそれぞれお気に入りの登場人物がいてまるでアイドルグループのファンイベントのような雰囲気。8分ほどのSD映像。

Deleted Scenes
5つのカットシーン。HD収録。

Extended Scenes
拡張シーン5つ。HD収録。

Music Videos
リンキン・パークの「Leave Out All the Rest」、ミューズの「Super Massive Black Hole」、パラモアの「Decode」のミュージック・ビデオを収録。SD映像。ロバート・パティンソンによる「Never Think」も入れて欲しかったところ。

Theatrical Campaign
劇場予告編やプロモーション映像。

上記はスタンダードDVDにも収録されている特典。Blu-rayのみの特典として上記ドキュメンタリーをピクチャー・イン・ピクチャーで鑑賞することが可能。また最新情報や映像をネット経由で配信予定のBD-Live収録もある。

映像は比率2.35:1、1080p/AVC MEPG-4エンコード。全編を通して隙のないシャープな高画質だ。ノイズや汚れの類いも一切見られない。ナチュラルさに欠け人工的な映像に見えるのは、彩度を落とした色の調製とフィルターを通して光源をあいまいにした絵作りによるもの。
寒々とした映像はヴァンパイア・ストーリーを盛り上げるのには最適。どんより曇ったフォークスの町の空気、透き通るような青白いエドワードの血の気のない肌の冷たさが画面全体の色温度さえも変えてしまっている。
ベラを背中に乗せてエドワードが森を飛び回るシーンで木々の緑が広がる風景の美しさ、しっとりと濡れた感触が伝わるような葉の色合いは、是非ともハイデフィニションの大画面で楽しみたいシーンだ。

字幕は英語とスペイン語を収録。

音声は英語DTS-HDロスレス5.1chサラウンド (48kHz/24-bit)、スペイン語ドルビーデジタル5.1chを収録。英語DTSの音質は最高とまではいかないが、非常に良好。音楽がメロドラマ調になることを避けたのか控えめでクールな曲の使い方が特徴。衝突音や効果音は意外なほどに迫力があり、シーンによってはホラー調の効果を出している。挿入歌によるサウンドステージは心地良くとても印象的。台詞は前編を通じて明瞭で聞き取りには全く問題ない。