Goyokin
(御用金）

作品データ
リージョン：1
制作： Tokyo Shock
映像仕様： LBX
音声仕様： Dolby Digital Mono (Japanese)
作品時間： 124分
画面比率： 2.35:1
CC： No
字幕： English

江戸時代後期、極度の財政困難に陥った越前鯖江藩の次席家老・六郷帯刀（丹波哲郎）は、急場をしのぐためにある極秘計画を進めていた。同じ頃、帯刀の妹しの（司葉子）の夫であり今は浪人の身となっている脇坂孫兵衛（仲代達矢）が江戸で何者かに襲われる。孫兵衛は自分の命を狙った人物をつきとめ、ひとり鯖江藩へと向かった。途中、イカサマ賭博師のおりは（浅丘ルリ子）に出会い、おりはが3年前に鯖江藩で起きた謎の「神隠し」事件に関係があることを知る。孫兵衛とおりはは共に鯖江藩に向かうが、二人の前に鯖江藩からの刺客が襲いかかる・・・。
幕府の御用金を巡る貧しい藩の悲劇と、男達の信念の対立を描いた見応えのある時代劇ドラマ。

日本ではDVD化されておらず観る機会の無い日本映画が、米国盤やPAL盤では早々にリリースされていることがある。欧米で高く評価され、カルト作品にもなっている五社英雄監督の1969年作品「御用金」もその一つだ。「金環蝕」「喜劇 爬虫類」の田坂啓と五社英雄による共同脚本で、撮影は「お熱い休暇」の岡崎宏三。日本初のパナビジョン作品でもある。出演は仲代達矢、丹波哲郎、中村錦之助、浅丘ルリ子、司葉子、東野英治郎と豪華キャストが揃っている。

この映画は当時アメリカにいくつかあった東宝の映画館、TOHO Theaterで公開され、日本海沿岸の寒村に広がる雪景色を捕らえたシネマトグラフィーの美しさ、佐藤勝による現代的かつ優雅なテーマ曲でアメリカの侍映画ファンを魅了した。1976年にはアメリカのフランク・ローリンという監督が「The Master Gungighter」という題名で西部劇版のリメイクを撮っているが、お世辞にも褒められた出来ではなかった。（このリメイク作品については、フランス盤の特典映像で解説されている）

今回は米国盤に加えて、コレクターアイテムのフランス盤もご紹介。

Goyokin（米国盤）

米国盤は2006年2月14日にMedia Blastersから発売された。画面比率は2:35:1アナモルフィック、日本語モノ音声、英語字幕（字幕はON/OFF切り替え可能）。映像はコントラストと発色においてはフランス盤より良好だが、リールヘッドに付いているものと思われるキズが散見される。イメージはクリア。サウンドトラックも申し分ない。
特典映像は、Media Blastersリリースの他の邦画「魔界転生」「座頭市」「仕掛人　藤枝梅安」「ＩＺＯ」の予告編のみ。内容充実のフランス盤とは違って特典らしい特典収録はないが、作品を気軽に観てみたいならば安価な米国盤がお勧めだ。リージョンは北米向けのリージョン1限定となっているので要注意。

Goyokin, l'or Du Shogun: Edition Collector 2 DVD（フランス盤）

画面比率は2:35:1アナモルフィック、日本語モノ音声、フランス語字幕（字幕はON/OFF切り替え可能）。コントラストが低く、ややにじみのある白っぽい映像。音声はセリフが前に出てくるクリアーなサウンドトラック。
特筆すべきは特典の充実度。これはそのままフランスにおける本作品の評価の高さを反映したものと言えるだろう。フランス盤はWild Side Video から2003年に一度リリースされ（既に廃盤）、2004年には同メーカーからボーナスディスク付2枚組コレクターズ・エディション、さらに2005年には"Version Pocket"としてスリムケース入り本編ディスクのみのエディションが発売になっている。
特典収録の豊富な2枚組コレクターズ・エディションは、米国盤のクライテリオンを思わせるシックなデジパック仕様の装丁に思わず購買意欲をそそられる。フランス語のブックレット付。
なおフランス盤DVDはリージョンは日本同様リージョン2だが、PAL盤の視聴には特別な再生環境が必要となるので要注意。

ディスク#1（本編収録ディスク）
・本編
・フォトギャラリー：カラー
・フォトギャラリー：モノクロ
・丹波哲郎フィルモグラフィー（フランス語）
・仲代達矢フィルモグラフィー（フランス語）
・DVD-ROM収録

ディスク#2（ボーナスディスク）
・仲代達矢インタビュー：当時を振り返っての思い出を語った映像
・スタッフ・インタビュー：当時アシスタントをしていたスタッフへのインタビュー。五社監督が声をかけてくれるまで3年かかったという苦労話から、「御用金」がマカロニウエスタンに与えた影響まで、幅広い話を聞かせてくれる。特に「御用金」とそのリメイク「The Master Gunfighter」との比較と批評は見逃せない。
・カメラマンの岡崎宏三による解説のメイキング。パナビジョンカメラの話、撮影風景映像に合わせてキャストを一人一人紹介した基調映像を含む。
・岡崎宏三インタビュー：カメラマンになるまでの経緯を詳しく語ったインタビュー。
・岡崎宏三の軌跡：インタビュー映像、自分が撮影した作品を一つ一つ解説しながらフランスのユーザー向けに監督紹介もあり。
・岡崎宏三インタビュー：それまでのミッチェルからパナビジョン・カメラを使うことになったいきさつ、「御用金」カメラワークの解説。

インタビューはすべて日本語音声、フランス語字幕（字幕はON/OFF切り替え可能）。

2006/04/04