I Am Curious: Yellow / I Am Curious: Blue: Criterion Special Edition (私は好奇心の強い女 / 続・私は好奇心の強い女)
作品データ リージョン:ALL 制作: Criterion 映像仕様: 4:3 音声仕様: Dolby Digital Mono (Swedish) 作品時間: 228分 画面比率: 1.33:1 CC: No 字幕: English
1968年、アメリカで公開を巡って論争を引き起こし、ノーマン・メイラーら知識人も巻き込んで訴訟にまで発展した映画があった。その作品は、アメリカでのポルノ解禁の先駆的作品として、映画史上重要な役割を果たすことになる。「私は好奇心が強い女」は、1967年、当時は最も性表現に大らかだと言われていたスウェーデンで生まれたヌーヴェル・ヴァーグ的作品である。公開を巡るアメリカでの訴訟は公開擁護派が勝利した。1971年に日本で公開された時には、45か所のシーンがカットされての上映となった。しかし、時代の流れと共に性表現への意識は確実に変化し、2002年には日本でもノーカット版(実際には4箇所の修正)が公開されるに至る。そして、これまでポルノと位置づけられる作品は扱ったことのないクライテリオン・レーベルからの今回のDVDリリース。今なぜこの作品が改めて注目されているのか。主人公のリナは22歳の演劇学生。シェーマン監督とは前作を撮った時以来の深い仲だ。リナは、次の映画のためにストックホルムの街頭でインタビューを行い、政治問題にも興味を持ち始める。自分の部屋を「ニーマン研究所」と呼び、壁にはスペインのフランコ総統の写真を掲げている。一方、カーセールスをしている青年ポリオと恋に落ち、セックスに夢中になるが、彼には恋人と子供がいることを知ってしまう・・。そういったリナの体験を描きながら、時折、撮影しているスタッフの姿が突如として画面に登場する。映画という虚構の中でのリナの体験する世界にいたはずの観客は、撮影の舞台裏を見せられ、突然、現実に引き戻される。街頭インタビューでは、故マーチン・ルーサー・キング牧師や、スウェーデンの故パルメ運輸大臣などが登場し、この作品にはドキュメンタリー要素が関わっていること知らされる。こうして観客の期待をはぐらかしていく手法は、映画の構成自体そのものへの挑戦であり、60年代はゴダールを始めとした映画の新しいスタイルが生まれた時代でもある。当時は社会問題となったセックスシーンは、今となっては「ポルノ」とわざわざ称するほどの表現ではない。それだけに当時は性を巡る「表現の自由」への挑戦がいかに大きかったかが伺えるが、むしろ、30年以上を経て全く違った意味で興味深い作品に変わってきたという点に注目したい。60年代の社会のあらゆる要素がこの作品には盛り込まれているからだ。「政治の季節」と呼ばれた世相、ポップ・カルチャー、アヴァンギャルド、ストリートのニュー・ジャーナリズム、Love & Peace、フリー・セックス、ウーマン・リブ運動・・・60年代のリアルな空気がここにはある。一本の映画作品を通して当時の世相や風俗を見る上で、非常に好奇心をそそられる作品なのだ。本作品は、スウェーデンの国旗の色でもある「イエロー編」「ブルー編」で構成され、今回のDVDリリースは両作品を収録の2枚組。映像はモノクロ・フルフレーム、音声はスウェーデン語モノラル。クライテリオンからのリリースは、常に期待を裏切らない保証付きのクオリティだ。英語字幕の収録あり、リージョンオール。特別映像は、「イエロー編」では12のシーンに監督のコメンタリー、アメリカでの訴訟についての関係者へのインタビュー、ドキュメンタリー、予告編、「ブルー編」にはカットシーン、監督のフィルモグラフィーを追ったTV番組の抜粋を収録。また、エッセイとインタビューを収録したブックレットがそれぞれ付いている。好奇心が旺盛な方にお勧めしたい一本。
2003/03/30
| 今週の新作 | 近日発売 | ジャンル・サーチ | RSSフィード | プライスダウン | スペシャル・セール | うわさのうわさ | 映会話 | 隠しメニュー集 | アートワーク・ギャラリー | オススメ作品 | ディスク・レビュー | リージョン説明 | DVD用語集 | リンク | ご注文方法 | よくある質問 | ファンタシウムについて | 編集後記 | サイト・マップ | ホームページへ |