Seven Samurai: Criterion Collection (Blu-ray) (七人の侍)
作品データ リージョン:A 制作: Criterion 映像仕様: 4:3 音声仕様: PCM(16 Bit Stereo) (Japanese), PCM Mono (Japanese) 作品時間: 207分 画面比率: 1.33:1 CC: No 字幕: English
巨匠・黒澤明監督の代表作にして日本映画史上の最高傑作「七人の侍」が、満を持してクライテリオン・コレクションからBlu-rayリリース!同タイトルは本コラムでなんと三度目の登場。DVD黎明期だった1999年にクライテリオンから初めてDVD化され、その後、2006年にはリマスター盤DVDでリリース。リマスター盤は飛躍的にクオリティが向上し、作品の価値までも高めてくれたといっても過言ではなかった。今回同じクライテリオンから発売のBlu-rayは、大容量に相応しい仕上がりで一家に一枚置いておきたい必携アイテムだ。 商品仕様はリマスター盤DVDと同様のデザインだが、2枚組だった本編は一枚に収録され、ボーナス・ディスクとの2枚組デジパックが、55ページのブックレットと合わせてBlu-rayケースサイズのスリップケースに収められている。相変わらず細やかなセンスが感じられるパッケージデザインと、高級感ある紙素材の美しさが際立っている。 「七人の侍」とくれば世界が認める名作にしてクライテリオンの看板タイトルだけに、Blu-ray化に際してどれだけ画質・音質が向上したか?という期待と不安がつきものだが、クライテリオンの緻密なリマスターは今回も期待を裏切ることなく、可能な限りのレストアを実施。Fantasiumでは東宝から発売済みの日本盤Blu-rayは未見だが、アメリカのレビューアーには、クライテリオン盤の方が東宝盤より格段に優れており、現存のものでは最高のクオリティと評価しているレビューアーもいる。 1080p/AVC MPEG-4 の映像は、解像度が高く適切なコントラストを保ち、ひとことで言えば「より明るく奇麗になった」。リマスター盤DVDもニューヨーク・タイムス紙で「デジタル技術の小さな奇跡」と評された素晴らしいクオリティだったが、本Blu-rayはその全シーンにさらに磨きをかけたような出来上がりで、よりクリアーでクリーンになった。皮膚のキメやかつらと肌の境目まで分かるようなディテールはスタンダードDVD盤でも秀逸だったが、Blu-rayは特に遠景が明瞭になり、その結果、画面全体がより自然に見え、空間の奥行きもリアルに感じられるので臨場感が増した。あのクライマックスの雨の決戦の迫力の凄まじさは、100インチの大画面で観るとまるで自分があの時代にタイムトリップした空間にいるような錯覚さえ覚えた。もともとのフィルムからの傷は完全には除去されず残っている部分は残念だが、鑑賞の大きな妨げになるほどのものではなく、それを差し引いても可能な限りのレストアが行われたことが伺える。 また本Blu-rayでは、台詞がより聞き取りやすくクリーンになったのが実感できるだろう。本作は声が割れて台詞が聞き取りにくいのが難点だったが、今回の日本語リニアPCMモノ音声、リニアPCMステレオ共に声の荒さはほぼ解消され、言葉はほとんど問題なく聞き取れるまでになっている。音楽は高音から低音まで伸び伸びと響く。複数のマスターを利用しているためかダイナミック・レンジが一定でないところもあるが、観賞を妨げるようなものではない。 なお、商品ケースの裏にはDTS-HDマスター・オーディオとの記載がありDTSロゴも印刷されているが、メニューに項目も無く、リモコンからも選択出来ない。本当にDTS-HD音声が収録されているかに関しては各レビューアーも検証しているが未確認。(但しこちらのレビューによると、クライテリオン側ではDTS-HDマスター・オーディオ2.0も収録してあるとコメントしているようだ) 特典映像はリマスター盤DVDと同じ内容ながら、すべてHD収録にアップコンバートされているのが嬉しい。ディスク#1には、日本映画研究家マイケル・ジェックによるオーディオ・コメンタリーに加えて、5人の映画研究家や批評家(デビッド・デッサー、ジョアン・メレン、スティーヴン・プリンス、トニー・ケインズ、ドナルド・リッチー)によるラウンドテーブル・オーディオ・コメンタリーを収録。 ディスク#2には、ドキュメンタリー「創るということは素晴らしい!」(約49分、日本語音声)、日本映画監督協会の製作で大島渚監督がインタビュアーを務めた1993年の黒澤監督インタビュー「わが 映画人生」(約116分、日本語音声)、また、ドキュメンタリー"Seven Samurai: Origins and Influences"(約55分、英語音声、字幕は日本語インタビュー部分に英語字幕があるのみ)、劇場予告編と特報合わせて4本、撮影舞台裏写真とポスター・ギャラリーが収録されている。 リージョンは日米共通のリージョンAのため、もちろん日本の各再生機器での再生が可能。 日本映画が誇る名作「七人の侍」を、いつもその時代に可能な限りの高品質で届けてくれるクライテリオン盤。よりきれいな絵といい音で、とつねに欲求は尽きないマニアやコレクターも十分満足するお勧めの一本だ。
2010/11/02
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